「・・・どういう意味?」
「観察して空気を読む必要もなく、自己アピールの激しい方達の中に行くということですよ」
ぐしゃぐしゃの髪もそのままに沙希を見ながらしばらく考えて、そしてピンとくる。
それは“転校先”の話であると。
「そういえば、あたしってどこ転校すんの?」
「言っていませんでしたか?かの、神谷学園ですよ」
「また神谷か」
いや、当然っちゃ当然だろうけどね。でも“神谷”って名前がオールマイティーすぎる。
(あれ?そういえば学費って・・・また出してもらうんだろうか。何かホント色々申し訳ない)
「鈴様は神谷学園を御存じないですか?」
「また有名系なの?」
もはや聞き飽きて来たんですが。
でもどうせ“神谷”の名前がついて価値がないとかありえないんでしょ。
自分でも感じるくらいうんざりした声音聞き返せば、本日最上級のキラキラ200%の笑顔が返ってきて、「さすが鈴様ですね」と言われた。
一瞬、コイツをホントに打ち殺せる刺客がいないか祈りかけた。(いや、自分の命は惜しいけどさ)

