「───そのあとすぐだよ、俺にお前の話が来たのは」
「え?」
なんとなく感傷的になってしまったあたしは、
突然自分のことに話を振られて驚いて顔を上げた。
目を丸くしているあたしを見て優しく微笑むと、
沙紀は壊れ物を扱うかのようにあたしの髪をつーっと撫でる。
「前会長を捨て身で助けた庶民の女の子が、身体に“アフロディーテ”を入れられた。
そう、言われたんだ」
なんとなく客観的に聞いてしまっていたせいで現実味がなかったんだけど、
やっと理解して「あたしだ」と呟いたら、
沙紀に「だからお前の話だって言ってんだろ」と笑われた。
「俺も初めてそこで、窃盗団が隠し場所に鈴の体を選んだことを知ったんだ。
それまで俺は、神谷の家に来てから依頼を1つも受けていなかったんだ。
やっぱり“神谷”という名前が許せなくて、どうしても守る気が起きなかった」
「うん」
「でもお前の話を聞いたとき・・・色んな気持ちが沸き上がって、気付いたら引き受けてた」
沙紀の手が、また頭の上に戻り、そしてあたしの髪を撫でる。
その行動を何度も何度も繰り返しながら、沙紀は言葉を続けた。

