「SPとして仕事をし始めてしばらくたって、偶然親父に会ったんだ」
「神谷先生・・・」
「家を出てからは一度も連絡をしてなかった。
する気もなかった。・・・ない、つもりだった」
「うん」
「それに、親父もちょっとした力のある有名人だ。
要人警護をしてたらどこかで会う可能性だってあるって分かってたのに・・・
いや、分かってたから、その仕事に就いたのかもしれないな」
思い出すように、沙紀はそっと瞳を閉じた。
少しだけ沈黙して、それから「そのときに親父に、戻ってこないかと誘われた」と呟く。
「断ったんだ、最初は」
「・・・うん」
「でも、それからほんの少し経った頃に、偶然仕事で同僚がミスをして・・・
俺が責任を押しつけられたんだ」
それで、その時に担当していた要人から外された。
沙紀は淡々と他人事のように話を進めて行く。

