「龍世が生まれてからも、しばらくは甘やかされてたんだけどな。
跡取りが龍世に決まったら、他人の息子である俺をかわいがる必要なんてないだろ。
あっという間に、父親の目を盗んでは虐待のような行動が増えた」
「そんな・・・」
「でもな、それで引きこもるようになった俺の中でも、1つだけ楽しみがあったんだ」
少しだけ、沙紀の声が明るくなる。
その変化に気付いてはっと顔をあげると、少し力を取り戻した沙紀の顔と目があった。
「なんだと思う?」と、沙紀は少し意地悪そうに問いかける。
まったく検討がつかなくて、あたしは首を横に振った。
「“絵を描くこと”」
「・・・絵?」
「そう、鈴と一緒。俺も、絵を描いてたんだ」
あぁ、だから。
遊園地のときに“サンセット・スカイ”という名前を知っていた沙紀。
その理由が今になってやっと分かった。

