お願いだから、早く嘘だって言ってよ。

お願いだから、早くまた笑ってよ。

「こんなに簡単に騙されるなんて本当にバカだな」って。

いつもみたいに、意地悪でも、いいから。



「沙紀・・・っ」



やめて。



「っ、何か言ってよ・・・!!」



やめて。



「ねぇ・・・っ」



気付いてしまう。

分かってしまう。

気付きたくないのに。

分かりたくないのに。

“信じられない”が“信じたくない”になっちゃう。



「ねぇってば!」



今ならまだ間に合うから。

否定して。嘘だって言って。冗談だって教えて。



「・・・おねがいっ・・・」



最後は、願いというよりは祈りに近かった。

これが現実だというならば、神様はなんて意地悪なのだろう。

あなたはあたしと沙紀を出会わせてくれたのに、こんな形で引き離すの?

これが運命なら、どうして神様はあたしたちを引き合わせたの?