どういう意味?
そう問い返そうとしたけれど、口からはただの息しか漏れなかった。
「むしろ、裏切ってたのは“神谷”の方だからなぁ」とわざとらしく龍世君は呟いて、
そして、
「鈴ちゃんには言ってなかったね」
そう言って、あたしの顔を見て微笑んだ。
「沙紀の本名は、───“神谷沙紀”。
僕の兄さんだよ」
龍世君の声は、この世界にあるどんな武器よりも破壊力を持っていたかもしれない。
あたしの頭が彼の言葉の意味をまったく理解できなかったのは、
彼のそんな武器があたしの思考力を破壊したからに違いなかった。
何度目とも分からない攻撃に、
頭の中も、目の前も、心の奥も、すべてが真っ黒に崩れていく感覚がして、
そしてまるで壊れた人形のように、やっぱりあたしの口からは笑いが零れた。

