「龍世君、冗談うまいなぁ」
「・・・」
「はは、うっかり信じちゃうところだったよ」
あまりに現実味がない話は逆に冗談のようで、
あたしの口からは乾いた笑いが漏れ続ける。
そんなあたしをわざとらしい微笑みで見つめる龍世君は、
「何が信じられないの?」と首を傾げた。
「だって、理由がないじゃない」
「理由?」
「そうだよ、だって沙紀は神谷家に仕えてる人でしょう?
裏切る理由がないじゃない」
沙紀は“SP”としての仕事に誰よりも誇りを持っている。
学園であったどのSPさんよりも、忠誠心だってずっと強い。
それを誰よりも知ってるあたしだからこそ、
沙紀が裏切るわけがないってことも誰よりも信じられた。
なのに、龍世君は「なんだ、そんなこと」とむしろ笑みを深めて見せた。
「沙紀は、神谷家に仕える理由なんてないよ」
「え?」
「彼が神谷の家にいたのは、仕えていたからじゃない。この家の人間だからだ」

