あたしは振り切るように沙紀の腕に抱きついた。
無数の「鈴様!」という切迫した声と、
チャキッというドラマでよく聞く拳銃を構える音が鳴った。
───沙紀が、逮捕される?
どうして?沙紀が何をしたの?
彼はあたしの大切な人なのに。
SPとしてずっとあたしを守ってくれて、助けてくれていたでしょう?
恋人としてずっとあたしを愛してくれて、愛することを教えてくれたでしょう?
沙紀は何も悪いことなんてしてない。
沙紀が拳銃を向けられる必要なんてない。
あたしが彼から離れる理由なんて、何もないんだから。
そう思って、改めてぎゅうっと彼に抱きつく腕に力を込めた。
「沙紀、お前から言ってあげなよ」
両手で沙紀に捕まってる分、耳を塞ぐことが出来ない。
それでも少しでも世界を否定したくてぎゅっと目を瞑っているけど、
嫌なくらい龍世君の声が耳に飛び込んでくる。
もうこれ以上喋らないで。

