Sの法則-平凡姫と俺様SP-




「・・・龍世、君・・・?」



病室のドアが開けられ、そこに立っていたのは龍世君だった。

彼に会うのは、杏華様の家に行ったとき以来で・・・すごく久しぶりに感じる。



「鈴ちゃん、元気そうでなによりだね」



記憶と寸分変わらぬ笑顔で、龍世君はニコリと笑う。

けれど、その顔には見覚えがあった。

そう、杏華様のことを話した、あの夕方の教室と同じ笑顔だ。

ゾクゾクと嫌な予感が胸を支配し、そして頭の中に警報音が響く。



「・・・ゲーム、オー、バーって・・・」

「あぁ、そのこと?なんだ、沙紀から聞いたかと思ってた」



クスクスと笑った龍世君の言葉から沙紀の名前が出て、あたしは驚いて沙紀を見る。

彼はやっぱり辛そうに眉を寄せて、悲しみいっぱいの瞳であたしを見つめてる。

でも、何も言わなかった。



───何?いったい、何が起きるの・・・?



真っ黒な雲が近付いてくるような感覚。

けれど、それを引き戻したのは、バタバタという無数の足音だった。

ハッと我に返ってドアに目を向け、そしてあたしは目を見開いて息を飲んだ。