この人は、何回あたしの心を掴めば気が済むんだろう。
ゆっくりとあたしの胸に染み渡っていく甘い言葉が
じんわりと体中を抱きしめるような感覚。
嬉しくて、温かくて、幸せで。
あたしは「うん」と言って微笑んだ。
「鈴、好きだよ」
「・・・あたしも好きだよ、沙紀」
すごくすごく幸せだ。
この思い出があれば、沙紀の存在があれば、
きっとあたしは前の生活に戻っても大丈夫。
沙紀と離れても大丈夫。
なのに、
「・・・っ、好きだ・・・っ」
どうしてこの人は、こんなにも不安そうにあたしを好きだと言うの?
どうしてこの人は、こんなにも辛そうにあたしを抱きしめるの?
「沙紀・・・?どうしたの?」
あたしが元の生活に戻ることが不安とか?
いや、でももっとこう深刻そうな・・・嫌な、予感が、する。
あたしの問いかけに、沙紀はあたしの背中に回す手にさらに力を込めた。

