沙紀は、もしかしたらそんな彼女を放っておけなかったのかな。
あたしがじっと沙紀を見ると、
「・・・分かってくれるといいな」
と沙紀は小さく呟いた。
もしかしたら、沙紀も彼女に何か伝えたのかも知れない。
ただ沙紀がすごく落ち着いた笑みを浮かべていて、
すごく柔らかくあたしの頭を撫でてくれていたから、
その内容は聞こうとも思わなかった。
「・・・さき・・・」
「ん?」
「おかえり、なさい・・・」
本当の意味で杏華様という鎖から解き放たれて、本当の沙紀になれたこと。
あたしの元に戻ってきてくれたこと。
それを含めて言うと、沙紀は「ただいま」と言って額にキスをしてくれた。
幸せだと思った。
もうただの庶民に戻ってしまったから彼といるタイムリミットは来てしまったけど、
それでもやっぱり彼が好きだと思った。
1分1秒でも長く彼を瞳に映していたかったのに、
襲いかかってくる安心感はまた夢の世界へとあたしを連れて行ってしまうのだった。

