がんばった・・・?

その言葉の意味がよく分からなかった。

あたし、そういえばどうして病院にいるんだっけ?

最後はどこにいたんだっけ?

思い出したいのに、頭がやっぱり回らなかった。



「もう大丈夫だから」



沙紀の言葉をゆっくり噛みしめながら瞳を閉じて深呼吸する。

あぁ、そうだ。

だんだん頭の中に映像が戻ってくる。

あたし、杏華様から呼び出しを受けて、彼女の家に行って、それで話してるうちになんだか気が遠くなって───



「さき・・・あ、たし・・・?」



どうして病院にいるの?

あたしはチューブに繋がれて動きにくい頭を動かして沙紀を見た。

沙紀はなんだか悲しそうに笑う。



「鈴は手術を受けたんだ」



手術、と心の中で反復する。



「もう、鈴の体の中に“アフロディーテ”はないんだよ」

「・・・そっ、か・・・」