ピッピッピッ・・・
───目が重たい。
ピッピッピッ・・・
───視界が暗い。
ピッピッピッ・・・
───音が、聞こえる。最近聞いたことがある音だ。
ピッピッピッ・・・
───あぁ、そうだ。この音は病院で聞いた・・・
あたしは、ゆっくりと瞳を開けた。
「鈴っ!!」
まぶしいと感じて瞳は閉じたけど、でも声だけで分かる。
大好きな彼の声だ。
「・・・さ、・・・き・・・」
あたしの声は、酸素マスクでかき消される。
事故にもあったし、誘拐事件で怪我もしたけど、それよりもずっと体が重たい。
目を開けるのが精一杯だし、声だってかすれてうまく出ない。
でも、それでも、
「・・・さき・・・」
あたしの手をぎゅっと握りしめて、安心したように微笑む彼の名前を呼びたくて。
一生懸命に声を絞り出すあたしに、沙紀が片手を繋いだままもう片手で頭を撫でてくれた。
「よく頑張ったな、鈴」