「ごめんなさいじゃ分からない。どこにいるかを聞いてる」

「・・・っ、わ、私・・・っ」



そしてその続きの言葉に、俺は頭が真っ白になった。

ただ、彼女を置いて、部屋を飛び出した。

一分でも一秒でも早く、鈴の元へ行かなくてはいけなかったから。





───彼女は病院にいるわ・・・“アフロディーテ”を取り出す手術をしてるはずよ





鈴が一人戦っている。そう思うだけで胸が締め付けられた。

たった一つの宝を取り出すために、彼女が命をかけて戦っている。

あんな宝石なんてくそ食らえだ。

俺にとっては鈴の命の方が何倍も何倍も価値があった。

そのそばに、俺がいてやりたいと痛いほど願った。

彼女のそばにいることが出来る時間はそう長くないからこそ、

一分でも一秒でもそばにいたい。

愛しているから、鈴を守りたかった。





【君の笑顔が忘れられない】





(お願いだから、大好きな大好きな笑顔をもう一度見せて)