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綾小路家別邸の周りには、たくさんの警備員とSPがいた。
数多くある綾小路家の別邸の中でも一番知る人が少ない別邸だ、
絶対にここだと確証があった。
だから、彼らがいることは「正解だ」と言われているようなもので、
ある意味安心する。
・・・とはいえ、容赦なく彼らを全員なぎ倒したけどな。
息切れしながらも中に入り、
何回か来た記憶をたどりながら応接室までの道を歩く。
「鈴っ」
突き当たりの扉を開きながらありったけの声で叫ぶ。
はぁっはぁっ、と自分自身の息切れの音が響く中で、
部屋の中には赤いドレスを着た女が一人立っていた。
俺の声に、彼女はゆっくりと振り返る。
「・・・杏、華・・・」
「やっぱり来てくれたのね、沙紀」
彼女は、昔と変わらない綺麗な顔で微笑んだ。

