「・・・アンタの価値をなくすのよ」
その言葉に、さっき怒鳴っていた彼女の言葉を思い出した。
───アンタなんか、宝石が無くなったらなんの変哲もない庶民なのに!!
───生きてる価値もない庶民なのに!!
あぁ、あたし・・・“アフロディーテ”を取り出されるのか。
お別れの時間なのか。この世界に。
頭が回らなくなってくる。
目を開けているのも辛い。
どんどん視界が白くなっていく。
頭の中には、走馬燈のように関わったみんなの顔が浮かんできた。
執事さん、メイドさん、運転手さん、
神谷先生、校長先生、クラスメートのみんな、
更科先生、真央ちゃん、香織ちゃん、
ののかちゃん、マナ、龍世君。
そして、
───沙紀・・・
大好きな人の顔を最後に浮かべて、あたしは瞳を閉じた。

