Sの法則-平凡姫と俺様SP-




「あたしはっ・・・っ!?」



あたしも立ち上がろうとした。

───でも、異変にすぐに気付いた。

ぐにゃり、と視界が回るように歪んだのだ。

あたしの体から力が抜け、座っていたソファに崩れ落ちる。



「・・・っ、なに・・・?」



体が言うことをきかない。

何か飲まされたか、と気付くまでに時間は掛からなかった。



「ふふ・・・確かに“何も入ってない”わよ。紅茶には、ね」



あたしのそばにきた彼女の言葉に、あたしは「まさか」と思った。

角砂糖か・・・でも、彼女も入れていたはず。

ううん、そんなの分からない。入れてくれたのは彼女だ。

1つだけ何かを混ぜておいて、それをあたしのカップに入れればいい話。

警戒していたのに、そこまで気付かないなんてホントあたしってバカだ。

(まぁ、今反省しても遅いんだけど)



「ど、うする、つも  り・・・?」



ろれつが回らなくなってくる。

視界がどんどんぼやけて、杏華様の顔が見えない。

ただ、彼女が満足そうに笑っていることだけは分かった。