「───あなたは沙紀を“SP”としての価値で扱っているのかと思いました。
でも、大事なところで、その彼の誇りは奪ってしまっている」
「・・・」
「杏華様は彼の何を愛しているんですか?」
あたしの言葉と同時に、カタカタと小さな音が鳴り出した。
なんの音?と考えたあたしの疑問の答えはすぐに見つかる。
杏華様が震えだし、その振動がカップに伝わり音を鳴らしていたのだ。
「・・・っ、庶民の分際で口答えをするつもり!!?」
「き、杏華様・・・?」
「アンタに何が分かるっていうのよ!!
アンタなんか、宝石が無くなったらなんの変哲もない庶民なのに!!
生きてる価値もない庶民なのに!!
なんでアンタが沙紀の近くにいるの!!」
眉を釣り上げ、瞳の奥にやどる憎悪という炎を隠すことも無くあたしにぶつける杏華様。
立ち上がって怒鳴りつけるその荒々しい口ぶりは、
さっきまでの彼女と別人のようだ。

