「あなたのこと、聞いたわ」
「・・・」
「どうしてあなたのような生まれの方があそこにいたのか、
どうして沙紀ほどのSPがあなたを守っているのか、
不思議だったのよ」
それは、調べたことを悪く思うな、ということだろうか。
彼女ぐらいの権力があれば、
たとえ神谷家のトップシークレットだろうと答えになんてすぐ行き着くだろう。
あたしは誤魔化さずに「そうですか」と答えた。
「───あのね、鈴さん。私は沙紀を愛しているの」
少しの沈黙の後、彼女はそう言った。
一瞬だけ押し黙って、
でも負けたくなくて、
「あたしも沙紀のことを愛しています」とはっきり答えた。
初めて、杏華様の眉がぴくりと動いた。
「あなたはご存知なくて当然だけれど、私と沙紀は深い絆で繋がっていたのよ。
付き合いの長さもあなたよりずっと多い。沙紀も私に忠誠を誓ってくれていたわ」
忠誠、という言葉に一瞬だけ反応してしまった。

