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「ようこそ」
連れて行かれた場所は、昔絵本で見たいかにも“洋館”といったデザインの家だった。
もちろん大きな家だけど、“別邸”というだけはあって覚悟していたほどは大きくない。
白で統一されたその家のドアを開けて中に入ると、
真っ赤なドレスを着た杏華様に出迎えられた。
「・・・どーも」
「来てくれて嬉しいわ」
あたしの適当な答えに、
わざとらしいくらい丁寧な応対とオーバーリアクションを示す杏華様。
「あがって」と彼女は寸分の狂いもない微笑みを見せた。
「安心して、この家には私達誰もいないわ。
外は誰一人近づけないよう警戒態勢は万全だし、ゆっくりお話しましょう」
そう言うと、有無を言わせぬように中に進んで行ってしまう彼女を
あたしはおそるおそる追いかけた。
もうここまで来たら逃げられない。
緊張なんて言ってられないよなぁ、と思いながら、
あたしは杏華様の耳に入らないような音で深呼吸をした。

