「・・・そうだ、龍世君」
「なに?」
「あたし、言ってなかったことがあった」
あの夕方の教室で彼の言葉を聞いてから、ずっと話していなかった。
でも、あたしの心はもうしっかりと答えを見つけ出していて、
あのときみたいに揺らいだりしない。
「あたし、沙紀を選んで後悔してないよ」
初めて、龍世君の顔から笑顔が消えた。
「あたし、沙紀に選んでもらうために沙紀を好きになったわけじゃないから。
たしかに傷つくこともいっぱいあったけど、守られてるよりもずっといい」
教室で『君は杏華と戦おうと思う?』と龍世君はあたしに聞いた。
これから彼女に会いに行く・・・彼女と戦いに行く、あたしの答えのつもりだった。
はっきり目を見据えて答えたあたしの答えに、
龍世君も無表情であたしを見つめている。
けれど、すぐに笑顔に戻ると、やっぱり「そっか」と言ったのだった。
その彼に背を向けて、あたしは部屋から一歩を踏み出した。

