『今夜8時、お一人で綾小路家別邸へ。
龍世に話は通してあります』
つまり、沙紀は連れて行くな・・・ってことか。
言葉の内容を理解して、あたしは少しだけ迷った。
話があるのはあたしじゃなくて沙紀だし、
沙紀を置いて行ったらめっちゃ怒られそうだし。
そもそも、沙紀を置いて抜け出せるのか・・・
って、そこは龍世君の協力があるならなんとかなるのかな?
色んな疑問が浮かんでは消えていく。
───ま、いっか
解決しない思考回路を、飽きっぽいあたしは簡単に投げ出した。
どのみち、杏華様の方が話があるっぽいし。
今日は聞くだけ聞いて、沙紀と話してくださいってあたしが言っておけばいいよね。
あたしはそんな風に気軽に考えて、プリントをノートに挟み直したののだった。
この選択が大きな間違いだなんて、
杏華様をなめすぎていたなんて、
この時のあたしが気付くわけもなかった。

