沙紀とのデートから数日。
さぁ、杏華様と沙紀を話させよう!
・・・と思ったのに、学校では意外と接点がないもので。
個人的に話に行けばいいんだろうけど、教室の中では間違いなく目立ってしまう。
休み時間や放課後の人が少ない時を狙おうとも、
そもそも杏華様の周りにはいつも取り巻きがいるし。
あの意気込みはどこへ行ってしまったんだろう、と頭を抱える毎日を過ごしていた。
───そんな、相変わらずだった学校生活に、小さな変化が起きた。
「ごきげんよう、鈴さん」
授業間の休み時間に、すべての元凶こと杏華様に直接声を掛けられたのだ。
「・・・何?」
あたしは、最初驚いて固まってしまったけれど、すぐに返事をした。
もちろん、その声に警戒の色があることは彼女も気付いているだろう。
でも彼女はあたしのそんな態度に満足そうに微笑んで、
「これ」と数枚のプリントを差し出す。