Sの法則-平凡姫と俺様SP-




「あたし、沙紀に出会えて幸せ」



もしこの魔法が解けてしまっても、

きっと過ごした毎日はあたしの心の宝箱の中で一生キラキラ輝いてるはず。

そう思ってるから、寂しくても苦しくても、この世界に来たことを何一つ後悔はしていない。

そう断言して、あたしはやっと沙紀の顔を見た。



「沙、紀・・・?」



あたしは、ゆっくりと沙紀の名前を呼ぶ。

沙紀の方が、なんだか切なそうな顔をしていたからだ。

おそるおそる彼の頬に触れようと伸ばした手を、彼はぎゅっと掴む。

まさか彼が動くなんて思わなくて、一瞬だけびくりと体が揺れた。



「───鈴は、俺のことをどう思ってる?」



え、と小さな声を零してしまう。

そう問いかけた沙紀は、さっき一瞬見えた切ない顔が嘘のように真っ直ぐにあたしを見ている。

彼の表情に戸惑いながらも、答えた。



「好き・・・だよ?」



その答えに「そうじゃなくて」と沙紀は首を横に振った。

だんだん強くなる風は、あたしだけじゃなくて沙紀の髪までも掻き乱していく。