「家ではご飯だって部屋だって違うし、まったく慣れない環境で。
家の中なのに道迷うし。
学校は友達いない、勉強ついていけない、庶民扱い、なのに神谷の名前だけ先走ってさ」
こうやって話してるほんのちょっと前の自分でさえ、やっぱり遠いものに感じる。
だって今の私は、神谷のおうちにだって慣れたし、友達もいっぱいできたし、
勉強も(前よりは)ついていけるようになったし。
大きな変化だ。
そんな毎日がすごく楽しい。
(・・・まぁ、杏華様はおいといて、だ)
「でもさー、これって無くなるんだよねーって思うときもあるの」
遊園地を見下ろしながらのあたしの話を、沙紀は黙って聞いてくれている。
あたしは沙紀の顔も見れず、そのまま話を続ける。
「結局はさ、今の楽しい生活って偽物なんだよなーって。
理由を取ったら、元の生活に戻るだけ」

