「鈴様の身を危険に晒すことになってしまったのは当家の責任だと、旦那様はとても心を痛めております。
もしも鈴様の身に何かあったら自害をも辞さないとまでおっしゃっておりました」
「じがっ・・・!?」
いやいやいやいやいやいや、あたしごときのせいで大財閥の前会長死んだらすぐ世界から抹消されるって!!むしろあたし死後の世界でも呪われるって!!
何考えてんだあのじいさん!!
本日何度目かもわからない意識を飛ばしそうな衝撃に、思わず口が悪くなってしまうのもしょうがないと許してほしい。
そんな反応をさらに追撃するように、長瀬さんがあたしの隣で王子様のように跪くものだから、さらに慌てて酸素不足の金魚のように口をパクパクさせる。
「どうか旦那様のお気持ちを汲んで下さいませんか?
主(あるじ)に向かって願い出るなど立場をわきまえぬ図々しいお願いだとは存知ますが、どうぞお願いいたします」
長瀬さんの訴えかけてくる目がまるで子犬のようで、じっとあたしを捕らえて離さない。
はぁー・・・見れば見るほど綺麗な顔をしてるな。この人。
そんなことを図太く考えながら、頭の片隅で長瀬さんへの返事を考える。
いや、正確には考えるも何も答えは一択なんだけど。
「んじゃ・・・オネガイシマス?」

