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「なんかナルシストっぽくて聞きたくないんだけどさ」
沙紀がそんなことを言い出したのは、
お昼ご飯も終わり次のアトラクションに並んでいる時だった。
本日3度目のジェットコースター。
平日でもやっぱり人気があるせいで待ち時間はそれなりにある。
あたしはさっき買ったばかりのアイスを乗るまでに食べきらなきゃいけなくて必死なんだけど、
そんなことお構いなしの沙紀の問いかけに「ん?」と返した。
「・・・お前、俺のどこが好きなの?」
珍しい沙紀の戸惑いながらの言葉。
いったい何を言われるんだろう、と一瞬構えてしまっていたけど、
その言葉の内容にぱちくりと何回か瞬きをした。
「・・・何、その顔」
「いや、沙紀もそんなこと気にするんだなぁと思って」
そう言うと、「あのなぁ」と沙紀は呆れ顔。
「俺だって普通の男なんだよ」
沙紀に“普通の男”ってなんか似合わない。
そう思って少しクスクス笑ったら、沙紀はちょっとだけふて腐れたように口を尖らせた。

