少し距離があるというのに、彼はあたしに気付いて「鈴」と笑顔で手を振る。
・・・やっぱり、見間違えなんかじゃなかった。
「沙紀・・・それ・・・」
「だって、デートだろ?」
いつの間に、と思ってしまう。
沙紀はTシャツにジーパン、ベスト、スニーカー、
そしてジャケットというシンプルカジュアルな私服に着替えていたのだから。
初めて見る沙紀の私服にドキドキ、じゃなくて!
たしかにデートだし遊園地だし、じゃなくて!
「あたしの警備しながら着替えたの?え?どこで?
普通に外だったら露出狂だよ?」
驚いて指さしながらそう言ったあたしに対し、
彼は「俺に不可能はないんだよ」と不敵に笑った。
なにその意味不明な俺様感。
でも、その一方で、たしかに沙紀ならなんでも出来そうな気もする。
この人、本当はただのSPじゃないんじゃないの?
なんてバカなことを思いながら、あたしはクスリと小さく笑った。
「やっと笑ったな」
「え?」

