「鈴様のお身体に当家の家宝が入れられている、という事実は本来極秘のはずなのですが、既に闇取引市場の方に情報が流れているというのが現状でございます。
それに早い段階で気付かれた旦那様より、鈴様をお守りするよう直々に命(めい)を頂きましたので参りました」
鈴様の命を狙った先程の輩も、無論鈴様の持つ宝石目当てでございます。
そう付け足した長瀬さんの言葉に、あたしはただただ目を丸くするばかり。
もはやどこから突っ込めばいいのかもわからないけど、とりあえず本当に今日は聞きなれない言葉ばかりで理解に苦しむ。
(誰か、あたしが病み上がりだってことに気付いて!なんてむなしい願い)
それはそうと、SPってぼんやりとした知識しかないけど、政府のお偉いさんを守るような人でしょ?
それが、いくらなんでもあたしみたいな一般的庶民にって・・・
「いや、あの。大丈夫なんですけど・・・?」
っていうか、専属とか意味分かんないし。
そんなことまでして守ってもらう必要性も納得できないし。
ちょっと引き気味なあたしの思考を読み取ったのか、否定の言葉を聞いた長瀬さんはあたしの顔を見つめて少しだけ眉を下げた。

