「僕たちの世界には、僕たちの世界なりのルールがある。
君の知らない、お金と権力が絡んだ怖い世界だよ」
「・・・」
「君の言う“友情”なんて、この世界ではちっぽけなものだよ。
勝てるなんて思わないね、なんせ家の命運が、家族の生活が、自分の今後の人生が、掛かってるんだからさ」
黙り込んでしまったあたしを見て、龍世君はどこか満足そうだった。
綺麗な赤い色をした唇が、動きを止めることはない。
「ねぇ、鈴ちゃん。
こんな話を聞いてまで、沙紀を守るために、君は杏華と戦おうと思う?
頑張って戦って、弱っていく君を見てまで、彼はそばにいてくれるかな?」
そんなの・・・言おうとして、あたしの口は止まってしまった。
自信なんて、ない。
だってあたしは、何も持ってないもの。
世界がぐるぐるして、膝の震えがどんどん止まらなくなる。
ついに力が入らなくなって、あたしは椅子に座り込んでしまった。
「あらゆる手を尽くして杏華は、絶対狙った者は手に入れる。
だから、沙紀も絶対杏華のもとに戻らざるをえなくなるよ」
「・・・」

