こくんと音を立ててつばを飲み込み、あたしはもう一度喉に力を入れる。
「どう、して・・・戻る、なんて・・・」
そんなに二人は愛し合っていたというのだろうか。
彼女を忘れられないまま、沙紀はあたしにあんなにも甘い言葉をささやいたのだろうか。
あまりにも龍世君が断言するから、あたしの中には戸惑いと疑問しかない。
あたしの言葉に、彼は「そっか、知らないもんね」と頷いた。
「杏華の家、“綾小路”は“神谷”と肩を並べるほどの大財閥だよ。
ただ、神谷と違うのは、配下の会社が多いってことさ」
「配下・・・?」
「“神谷”は、神谷の名前だけでたくさんの会社を運営している。
でも“綾小路”は子会社を持っているのさ。
たとえば、“宇佐美”だとか“野々村”だとかね」
その名前に体が反応した。
まさか・・・と思いながら龍世君を見ると、
「君の言う、“オトモダチ”の家だね」と言った。
だから、彼女たちは杏華様に逆らえなかったってこと───?

