・・・あたしは、その一連の会話と動きを見てるしかできなくて。
だって、頭の中には
「どうして龍世君はあたしに嘘をついたの?」
という昨日の疑問がよみがえってしまったから。
杏華様騒ぎがあったし、昨日家で会わなかったし、
今まですっかり忘れてたけど・・・
龍世君の顔を見た瞬間それを思い出してしまって。
しかもなんだかいつもと違って見えるし。
まるで異世界に来たような緊張感。バクバクと、心臓が激しく音を立てた。
「どう、したの・・・?」
あたしが問いかけると、龍世君は「ん?」と夕日で赤く染められた顔を傾げた。
「僕じゃなくてね、鈴ちゃんが何か言いたいんじゃないかなって思って」
龍世君の言葉に、あたしは呼吸が止められそうになる感触がした。
この人は何を考えているの。
この人は何を知っているの。
本当に、彼が別人にしか見えない。
ゾクゾクと足下から怖さが這い上がってくる。
穏やかな龍世君のままのはずなのに、こんな感情を抱く自分はどうしちゃったの?

