「完璧に仕事をこなしていたつもりだったから・・・
すごく驚いたし、何がいけなかったのかたくさん反省した」
「・・・うん」
それだけ、当時は杏華様に真剣に向き合っていたに違いない。
こんな時なのに少しだけ嫉妬してしまう自分に嫌気がさした。
それでも沙紀の話を聞きたくて、返事をすることはやめない。
「まぁ今は完全に吹っ切れてまたSPという仕事に誇りを持っているし、
逆に杏華様のSPをやめたからこそ学んだこともあったと感謝してる」
「・・・」
「何より、今俺が守らなきゃいけないのは鈴だから」
沙紀はこの言葉で顔を上げて、あたしを見た。
SPの沙紀とは違う、あたしの好きな沙紀の笑みを浮かべていた。
「心配かけてごめんな。ただ、鈴が心配するようなことは何もないから」
沙紀の大きな手があたしに伸び、頭の後ろを抱えるように抱きしめられる。
「うん」とあたしは答えて、沙紀の優しい香りに包まれながら瞳を閉じた。
信じてる・・・心の中で呟くと、
脳裏に、敵意に満ちた杏華様の顔が浮かんだ。

