───杏華様は別格のお方だから。
そんなマナの声が頭をよぎった。今ならものすごく理解できる。
一人納得していたけれど、
ふっと顔を上げて杏華様(なんとなく様付け)の顔を見た。
そして、
「え・・・?」
あたしは思わず小さく声を上げてしまった。
彼女は大きな目をさらに大きく見開いてこちらを見ていたから。
ううん、正確にはあたしを通り越して、あたしの後ろを見ていたから。
あたしの後ろ、それは、
「沙紀・・・っ」
杏華様の口が、間違いなく彼の名前を呼んだ。
びっくりして振り向くと、
沙紀は泣き出しそうな驚いているような喜んでいるような、
複雑な顔をしていて。
「・・・沙、紀・・・?」
ただはっきりと言えるのは、
あたしの声が耳に届かないほど、彼は真っ直ぐに杏華様を見つめていたということ。

