「この制度をお作りになったのは、その方・・・綾小路 杏華(あやのこうじ きょうか)様。

彼女の許可がなくては、わたくしの一存で変えることはできないわ」



ま、またいかにもお嬢様というすごい名前が登場したぞ。

なんて頭の片隅に思いながらも、

あたしは「この教室のボスはずっとメグだと思ってたよ」と言った。

マナは首を横に振ると、「杏華様は別格のお方だから」と呟いた。

そのマナの顔と言ったら、泣き出しそうな辛そうな顔。

また、見たことも無いような表情だった。



「メグ・・・?」



心配で声を掛けたのに、彼女は「時にあなた?」と急に表情を一変させた。

あ、いつも通りのマナだ。と思いながら「はい」と素直に返事。



「───あなた、両想いになったでしょう?」

「うえええええええっ!」

「うるさい!!」



こそり、と告げられた言葉に驚きすぎて悲鳴を上げると、すぐに頭を叩かれた。

意外と痛いぞ、お嬢様。

そう思って頭を押さえながらマナを見上げると、彼女は不敵な笑みを浮かべて見せた。



「わたくしに隠し通せるわけなくってよ」

「あはは・・・」