さっきまで近くにあった沙紀の体温にまたぎゅっと抱きしめられながら、
あたしは彼と顔を見合わせる。
「俺が、鈴のこと好きだってことだよ」
見たこともない、慈愛に富んだ沙紀の微笑み。
嘘じゃない、なんてすぐに分かる心が温かくなる瞳。
全身で沙紀の愛を感じて、
一瞬のうちに心も体も顔も熱くなったのが分かった。
なのに、あたしはあまりにびっくりしてしまって、
「嘘・・・」と呆然と呟くしかない。
「何?お前疑うの?」
「だって、沙紀SPじゃん!」
SPとお嬢様(というか守られる側?)の恋愛はだめだとか。
SPだからあたしに優しくしてるんでしょとか。
色んな意味を込めて言ったら、
伝わったのかどうか分からないけど、
沙紀は「お前なぁ」と言ってため息をついた。
「一生俺から離れんなって言っただろ?」
「あれはSPとしてだと思ったんだもん!」
「最近ちゃんと優しくしてたのわかんなかった?」
「誘拐事件に罪悪感あるのかなって思ってた」
そう答えたら、「鈍すぎだろ」と困ったように沙紀は頭を掻いた。

