もちろん優しくされて嫌なわけじゃないんだけど、なんとなく違和感を覚えてしまう。
優しいのに、どこか、壁を感じるような。
もしかして、なんだかんだあたしが誘拐されたことを気にして気を遣ってくれてたりするのかな?
「・・・そんなに見つめられると、恥ずかしいのですが」
じっと沙紀を見て考え込んでしまっていたんだろう。
沙紀が困った顔をして「どうかしましたか?」とあたしに問いかけた。
まさか沙紀に聞き返されるなんて、と思って、
考えていたことも言えないあたしは慌ててしまう。
「えっ・・・え、あ、ううん、なんで急に遠出なんて言い出したのかなと思って」
そうごまかすように言えば、沙紀は「あぁ」と頷いた。
「テストを赤点なく突破した件や、
ダンスパーティーや先日の事件で宇佐美様を守られたご褒美ですよ。
旦那様には私から伝えてありますからご心配なく」
まさか、沙希の口から“ご褒美”。
今日はエイプリルフールだっけ?
なんてありえないことを思いながら、まじまじと沙希を見つめると、
彼はその端正な顔立ちに優しい笑みを浮かべた。

