───沙紀が、私の元に帰ってきたのは神谷先生と話したあとの翌日のことだった。
運転手さんに行き先を告げに言った沙紀の背中を見つめながら、
あたしはぼんやりと思い出す。
本当に、
「代理のSPなんて必要ないじゃん!あたしのこと嵌めるためだけに用意したでしょ!」
と思ってしまうほどの、スピードで帰ってきた。
沙紀は、「鈴様がとても寂しそうにしておられたので頑張ったのですよ」なんて言ってたけどね。
・・・うん、たしかに寂しかったけどさ、沙紀に察知されるとなんか無性に恥ずかしくなる。
「鈴様、どうぞ」
「ありがと」
沙紀が開けてくれた後部座席のドア。
あたしがお礼を言って乗り込むと、沙紀も乗り込んであたしの隣に座った。
───戻ってきてから沙紀はすごくあたしに優しくなった。
相変わらず驚異的な回復力を見せた体調にいつもの嫌味なんて言わないし、
むしろすごい勢いで心配されたし。
課題プリントの教え方も、休憩を挟みながら1から教えてくれて・・・まるで別人みたいだと思ってしまう。

