「久しぶりに、少し遠出をいたしましょうか」



沙紀がそんなことを言い出したのは、謹慎最終日のことだった。

ののかちゃんが持ってきてくれる課題プリントを解き終えて伸びをしていたあたしは、驚いて顔を上げた。



「遠出って?」

「そうですね・・・鈴様のお申し付け通りになんなりと」



沙紀の言葉に、あたしはうーんと考えた。

真っ先に思い浮かぶのは、由美とよく行ってたショッピング街なんだけど。

・・・それって遠出っていうのかな?

ただ、どんなに考えても、今新しい洋服が欲しいと思っているあたしにそれ以上の答えはなかった。



「洋服買いにいきたいな、由美と行ってたショッピングモール」

「鈴様のご実家からこちらに向かう途中に、あった大きなショッピングモールですか?」



思い出したように尋ねた沙紀に、私はそうそうという意味を込めて頷き返す。

そのあたしの反応に少しだけ首を縦に動かした沙紀は「かしこまりました」と微笑んだ。