───あたしの部屋まで送ってくれるらしい沙紀と、二人廊下を歩く。

あたしは気恥ずかしさと気まずさに何も喋れずただ俯くばかりだ。

沙紀、なんか言ってよ・・・。

そんな願いを込めて沙紀を横目で見上げると、

気付かぬ間にこっちを見ていた沙紀とばっちり目があった。



「鈴様」

「なっ、なに!」



こんなどもったら意識してるのバレバレじゃないか。

っていうか、見てるなら言ってよ。

いったいいつからあたしの顔あんなに見ていたっていうの。

頭の中がぐるぐるする。



「・・・ありがとうございました」

「・・・」

「その・・・・・・一応、嬉しかったので」



沙紀もなんとなく言いにくそう。

その言葉の真意が、沙紀を庇うあたしの言葉についてだってことはすぐに分かった。

思い出してあたしまで気恥ずかしい。

「別に」とだけ答えて・・・さらに沈黙。

部屋に着くまでの数分が、とても長く感じた。



「きちんと休まれてくださいね」



あたしの部屋のドアを開けてあたしを中に入れると、

沙紀の顔はもうSPに戻っていた。