───言われたとおり、進むと。
たしかにあたしは迷子になりたくないから、自室と食堂以外ほとんど向かったことはなかった。
だから、こんなまるで南大門のようなデカデカとした両開きのドアがあるなんて、まったく知るはずもなく。
まるでラスボス。
なんとなくそんなことを思いながら、一応ドアにノックをした。
「どうぞ」
久しぶりに聞く、神谷先生の声だった。
あたしは「失礼します」と言って部屋に入る。
ドアを入ってすぐ、正面にある大きな茶色いデスクに神谷先生は座っていた。
「鈴さん、お久しぶりですね」
あたしの姿を確認すると、神谷先生は優しく微笑んだ。
改めてお会いすると、なんとなく龍世君に似ている気がした。
「お久しぶりです」と返事を返すと、
「出張前でばたばたしていて申し訳無い」と神谷先生は答える。
確かに、周りではメイドさんや執事さんがせわしなく旅行鞄を用意しており、
「いえ」とあたしは答えた。
「体調はいかがかな?いやはや、重傷じゃなくて良かった」
神谷先生は安心したように頷く。

