「鈴様、少しは私の話を聞いてくださいませ」
そんなことを言うけど、「あたしは話すことなんてない!」と聞く耳を持たなかった。
こんな知らない男と話したくない。
今あたしが聞きたい声は、沙紀の声だけなんだから。
「鈴ちゃん、落ち着いてよ」
龍世君も少し困った様子であたしに声を掛ける。
なんで彼は逆にこんなにも冷静なんだろう。
「だって沙紀がいなくなっちゃうかもしれないんだよ!?」とあたしが言葉を続けると、
また見知らぬ男が「だから・・・」と言葉を続けようとした。
だからアンタの話なんて聞くつもりない!と睨み付ける。
「SPなら、アンタがあたしの行動に付いてきなさい!」
まるでマナみたいだ、と思うような偉そうな啖呵を切って、
待ちきれないあたしはずんずんといきり立って廊下を進む。
通りがかった執事さんに「先生の部屋どこ!?」と聞くと、
少し驚いた様子の彼は
「その道を左折していただいた突き当たりでございます」
と教えてくれた。
「ありがとう!」とこれまた怒り半分に答えて、
あたしはまっすぐ先生の部屋へ向かう。
誰もあたしの後を付いてきたりなんてしてなかったけどね。

