「鈴ちゃん!良かった、気がついたんだね」
目を開けた時に真っ先に飛び込んできたのは、心配そうな表情をした龍世君の顔だった。
「龍世君」と小さく名前を呼べば、「大丈夫?」と彼は首を傾げた。
右手が温かい、と思ったら龍世君が握ってくれていたようだった。
「・・・ここは?」
そう尋ねたけど、見慣れた部屋すぎて本当は聞くまでもない。
案の定、「鈴ちゃんの部屋だよ」と龍世君は答えてくれた。
「起きたときに自室の方が安心するかと思って、ここで診療してもらったんだ」
たしかに、あたしの腕には点滴が繋がっているし、擦り傷があったところにはガーゼも貼ってある。
本当にここで診てもらったらしい。
丸一日寝ていて心配しちゃった、と龍世君は小さく笑った。
「迷惑かけてごめんね」
そう告げたら、龍世君は「大丈夫」と穏やかに微笑んだ。
「それよりもびっくりしたよ。鈴ちゃんが一人で犯人追いかけたーって沙紀から聞いたときはね」
鈴ちゃんらしいけど、無事で良かった。
龍世君はそう言ってクスクスと笑った。
(まぁ、笑い事で済んで本当に良かったけど)