たくさんのごめんなさいと、たくさんのありがとう。

多くの気持ちを込めて、伝わってと願いを込めてあたしは沙紀にこの一言を告げた。

沙紀の顔をちゃんと正面から見て、もう一度「ありがとう」と。

彼はすこし間を置いたけど、しっかりとあたしの目を見て口を開く。



「・・・俺に守らせろ」

「っ・・・はいっ・・・」



どうしよう、止まらない。

いけないって分かってるのに、止まらない。止めれない。

気付いてしまった、自分の気持ちに。

この人の強さが、真摯さが、一途さが伝わる度に、胸がぎゅっと苦しくなる。

この人みたいに生きてみたいと、切望してしまう。

でも、それは叶わない。



───だって、彼はSPだから。



あたしを守るのは、ただのお仕事。

だからこんな言葉に期待しちゃいけないんだ。

なのに期待してしまう。

無意識にせき止めていたからか、一度あふれ出した想いが止まらない。

苦しくて、あたしはさらにぼろぼろと涙をこぼした。



「っ・・・」



そう思ってたはずなのに、頭の後ろに回っていた手にぐっと力がこもった。