嬉しくて。
沙希が、心配してくれた。
あたしのこと探してくれた。
こんなに髪ぐちゃぐちゃにして。汗いっぱい流して。洋服乱して。
・・・あたしのことに、必死になってくれた。
それが、こんなにも嬉しかった。
「痛むか?」
泣いた顔を見られたくなくて下を向いて顔を両手で覆っていたけど、頭が重く温かくなる。
その重みがゆっくりゆっくり左右に動いて、頭を撫でられてるのだと気付いた。
沙紀の問いに、あたしは小さく首を横に振る。
「・・・怖かったか?」
もう一度沙紀はあたしに問いかける。
けれど、さっきより大きく、首をまた横に振った。
あたしが伝えたい気持ちは、そういうことじゃないんだ。
「沙希・・・」
「ん?」
「あり、がと・・・う」
沙紀のことちゃんと分かってなくてごめんなさい。
わがままでごめんなさい。
迷惑かけてごめんなさい。
助けてくれてありがとう。
一生懸命になってくれてありがとう。
心配してくれてありがとう。

