「お前、俺がどんだけ心配したか分かってんのか!」
「え、沙希、口調・・・」
「んなこと今はどうでもいいんだよ!」
怒鳴りつけられて、身がすくんで固まる。
沙紀はあたしのことを注意するどんなときも、決してこんな風に感情を表に出しはしなかったから。
───でも、
「大体お前は隙が多い!危険なんだっていい加減わかれよ!」
「・・・」
「いくら剣道やってたからって、飛び道具相手に鉄棒一本でなんとかなるってどうして思う!?
運が良かったからまだしも、相手が悪かったりしたら死んでたかもしれねぇんだぞ!分かってんのか!?」
性格悪いかもしれない。
沙希の気持ちなんて、なにも分かってないかもしれない。
───でも、
「怪我はないか!?どっか痛いところないか!?」
沙紀の手が、顔、肩、腕、手・・・と、あたしの体を確認するように必死に触る。
そして動き回ったせいで乱れた制服の隙間から見えたらしいあたしのお腹を見て、顔をしかめた。
「女がこんな大きなあざ作りやがって」と。
そんなこと、別にいいのに。
───だって、
「・・・何泣いてんだよ」

