ひんやりとした床が素足から伝わって、その感覚にだんだんと意識がはっきりしてくる。
その中で「恵実様!」という叫び声と同時に、マナの元へ次々と執事さん達が駆け寄っていくのが見えた。
「・・・良かっ、たぁ・・・」
だんだんと助かったという実感が湧いてへらりと笑みが零れる。
良かった、本当に良かった。
あたしの頭の中は、その言葉だけ。
・・・そんなあたしの元へ沙紀は早歩きで近寄ってきた。
「・・・?沙希・・・?」
沙紀はあたしの近くに立ったまま、ただ無表情であたしを見下ろすだけ。
どうしたんだろう、と不思議に思いながら彼の名前を呼ぶ。
すると、
「っ、このバカ!!!」
「うぇ!」
急に声を荒げられて、思わずびっくりして変な声を上げてしまった。
そんなあたしのリアクションなんて気にせず沙紀はそのまましゃがむと、あたしを真っ直ぐに視線で射抜いた。

