でも今は、あたしは変わろうと思った。
いつもそばにいた人のおかげで、“強さ”の本当の意味に気付いたから。
───『鈴様』
穏やかに、少し意地悪そうに、それでも優しくあたしを呼ぶ、大切な人。
その背中を追いかけたいと、 少しでも肩を並べたいと、 思ったから。
だから、
「はぁぁぁぁぁっ!!」
絶対に、あたしは負けない。
勢いよく飛び出したあたしは、相手の懐に飛び込む。
跳ね上げた金属棒の切っ先が、寸分の狂いなく犯人の手元をはじいたのが目の端でわかった。
『一本!』と内心声が響くと同時に、
勢いよく手から飛び上がった拳銃がくるくると回転しながら床を滑る。
その一瞬の衝撃で解放されたマナが、
動揺しながらも慌ててその拳銃を掴んで抱き込んだ。
「くっ・・・」
あたしはまだ、まったく狙いをずらしてなどいない。
手首を押さえて苦渋の表情を浮かべる犯人から、まったく目を移したりしない。
すぐにまた、相手との間合いを計りながら構えの体制を取り直した。

