Sの法則-平凡姫と俺様SP-




「中学3年の時に、関東大会優勝したんでしたっけ?」



犯人に言われたプロフィールに、少しだけぴくりと反応してしまう。

その小さな動きさえ見逃さず、彼はにやりと笑った。



「たしか・・・肩を痛めて引退したんですよね?」

「・・・」

「そんな重たい棒、振り回して大丈夫ですか?」



肩が大丈夫とか大丈夫じゃないとか、今はそんなこと全然関係ない。

たとえまた壊れても、何年だってかけて治せばいいんだから。

けど、今マナが連れて行かれたら・・・そんなこと、治すどころの話じゃない。

今のあたしには、マナを助ける以外のことは頭にない。

彼を睨み付けたまま無言で間合いを詰めていくと、さすがに彼は動揺したらしい。



「・・・っ、近付くな!!」



そう言って、マナを引き寄せる。

どこからともなく出した拳銃を、彼女のこめかみに当てて。

さすがに、あたしは立ち止まった。