Sの法則-平凡姫と俺様SP-




その告げられた言葉に、あたしとマナは息を飲んだ。

嫌と言うほど、その台詞の真意が分かったからだ。



「やはり妹ということで、思ったより値は上がりませんでしたが・・・まぁいいでしょう」

「良くない!人間に値段付けるなんて頭おかしいんじゃないの!」



ロープが切れるまで、あと少しだから・・・っ!!

なんとか時間を引き延ばしたくて、自分の身も顧みずに声を上げる。



「うるさいですね」



突然その笑みを消した彼は、容赦なくあたしのおなかを蹴り上げた。



「っ、はっ・・・」

「鈴っ!!」



一瞬世界中の空気が無くなったように感じた。

(あたしの名前を呼んだマナの声も、どこか遠くで響いたくらいだった)

やっぱりさっき殴られた分もあってか、想像以上に痛い。

涙が出そうになったけど、こいつの前で泣きたくなくて、唇を噛んだ。

血の味がしたけど、口にさえもう痛みを感じない。

あたしの意識は、ただひたすらロープを切ることに夢中だった。